2020年8月7日(金)の天気【東北北部梅雨明け速報発表なし】

まずは天気図です。ぱっと見では8月上旬の天気図とは気づけないような不自然さ。①発達した低気圧が日本海北部、北海道の西を北東に進み閉塞過程に入っています。低気圧周辺では等圧線の間隔が「密」になっています。夏真っ盛りの時期の天気図としては不自然な発達具合、もと台風4号の低気圧です。②低気圧からのびる寒冷前線が北日本を東進して通過していますが、朝鮮半島〜日本海、東北南部付近には前線が停滞しています。

気象衛星画像をみると、低気圧の後面に雲のない領域が広がっています。乾燥空気の流入を表していて、低気圧が発達のピークを過ぎていることが読み取れます。日本付近には帯状の雲域がかかっています。

上空約5500m付近(500hPa面)の天気図をみると、地上低気圧の真上に5760m付近のトラフが来ていて、次第に先行して行ったのが分かります。ただ日本海から東北には正渦度が移流してきています。これに対応して地上の前線が解析されているわけですね。

まずこの日は発達した低気圧の影響で北海道・東北北部で風が強まりました。8月1位の記録を更新した地点が多数ありました。上川地方・上富良野で最大風速15.0m/s(10:29)、最大瞬間風速27.1m/s(10:39)、日高地方・日高で最大瞬間風速23.1m/s(11:09)を観測し通年の1位の記録も更新された地点がありました。この日までの通年1位が3〜5月に出ているのは春の嵐系かなと推測できますが、8月にここまで発達した低気圧が近づくのは稀であると言えそうです。統計開始が1943年の札幌でも最大瞬間風速の8月極値が更新されています(27.9m/s,7:20)。

風・通年1位更新状況(8月7日)
最大風速・8月1位更新状況(8月7日)
最大瞬間風速・8月1位更新状況(8月7日)

また、大雨のもとになる暖湿気も流れ込みました。上空約1500m付近(850hPa面)の天気図をみると、寒冷前線の前面に、流路は狭いですが345K以上が流入する予想。前線周辺で雨脚が強まりそう。また北海道に進む低気圧周辺では風速50kt(約25m/s以上)がついています。

FXJP854(初期時刻:6日21時)

雨雲レーダーの様子を見ても、前線周辺、北海道では低気圧本体周辺の活発な雨雲がかかったが分かります。この日は日本海側で雨脚が強まり、北海道宗谷地方・利尻島では午前8時過ぎ、「50年に1度の記録的大雨になっているところあがある」という気象情報が稚内地方気象台から出されました。また昼前には西日本・島根県隠岐島・島後で「50年に一度の大雨」という情報が出されました。

雨の記録です。日降水量は宗谷地方・島根県隠岐島で100mmを超えた地点がありました。通年の極値も更新されています。文字通り記録的な大雨でした。1時間降水量では宗谷地方・礼文で50.5mm(5:08)を観測し通年の局地を更新。西・東日本では激しい雨・非常に激し雨は日常茶飯事ですが、北海道にとっては極めて稀な大雨であるといえるかと思います。6時間降水量100ミリ超も、道北にとっては記録的な大雨。降水量を評価する際はその土地ごとの塩梅を考えて伝えることが必要であると改めて感じました。

降水量・通年の極値更新(8月7日)

また、2020年はこの8月7日が立秋で暦の上では秋が始まりました。東北北部では6月14日ごろに梅雨入りして以降、梅雨空が続いていて、梅雨明けの発表がされていませんでした。気象庁では梅雨明けの速報の発表の目安を「立秋」までとしていて、東北北部に関しては梅雨明けの速報的な発表を行わないことが発表されました。梅雨の時期に関しては春から夏の天気経過を振り返ってから、9月はじめに確定値が発表される予定です。

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ABOUT US

加藤 直樹気象予報士・防災士
気象予報士・防災士・国内旅行業務取扱管理者。京都大学農学部森林科学科卒。大学在学中に気象予報士試験に合格。気象解説業務に就く社会人2年目。