2020年7月8日(水)の天気【令和2年7月豪雨・長野岐阜に大雨特別警報】

2020年7月9日、気象庁は7月3日からの連日の大雨に対して「令和2年7月豪雨」という名称をつけることを発表しました。まだ大雨が降り続く中での名称発表でした。7月8日はその令和2年7月豪雨の6日目にあたり、長野県。岐阜県に大雨特別警報が発表された日です。

では、天気図から見ていきます。

梅雨前線が西では押さえつけられて、東では突き上げられているような印象を受けますね。9時時点ではキンク(前線が折れ曲がっていて低気圧なりかけの部分)が東海地方、三陸沖にあります。21時時点では紀伊半島や東日本の太平洋側が前線の南側に入っています。

上空5500m付近(500hPa面)の天気図。

沿海州の高度5640m付近には偏西風の流れから切り離された寒冷渦があります。地上には対応する低気圧がありますね。また、華中〜西日本の高度5820m付近にはスケールの大きな(長波の)トラフがあります。9時時点では正渦度極大域が東日本付近に解析されています。太平洋高気圧の勢力目安5880m線は午後にかけて、西日本で南に下がる傾向。5820mの強風軸も南下傾向。

気象衛星ひまわりからの画像を見ておきます。午前9時時点のものです。

赤外画像では、活発な雨雲は西日本付近では南の海上に離れていますが、東日本では北東に向かう走向で分厚く背の高い雲がかかっています。また、水蒸気画像では沿海州の寒冷渦、また5820m付近のトラフに対応する暗域が明瞭です。

上空1500m付近の850hPaの予想天気図です。ここ最近の大雨続きなタフな天気図を見続けていると、345K以上の暖湿気流入は少し範囲が狭くなった感がありますが342K以上が西・東日本に広く流入。危険な状況には変わりありません。南西風によって暖湿気流入が持続する場です。特に岐阜県・長野県付近には(9時の予想で)南西風と南風の収束が予想されていました。風が収束する場所では上昇気流が強化されて活発な雨雲が発生しやすいです。

この日は、西・東日本で雨脚が強まり、特に活発な雨雲がかかり続けた長野県の南部・松本地域・乗鞍上高地地域に、そして岐阜県の飛騨地方・東濃・中濃に大雨特別警報が発表されました。岐阜県の地域には6:30に、長野県には6:43に発表されました。解除は同じ時刻、11:40でした。

特別警報の運用が始まったのは2013年8月30日です。長野県に大雨特別警報というと令和元年東日本台風による大雨の時(10月12日)も大雨特別警報が発表されましたが、その時は長野地域、上田地域、佐久地域、諏訪地域、上伊那地域が対象でした。つまり今回の大雨で、上伊那地域では2回目の大雨特別警報になりました。また、岐阜県に関しては2018年西日本豪雨の時、7月7日に岐阜・西濃、中濃、飛騨北部に大雨特別警報が出されたことがあります。つまり、中濃・飛騨北部では2回目の大雨特別警報発表になりました。

雨雲の様子を3時間ごとのレーダーで振り返ります。

活発な、スケールの大きな線状の雨雲(線状降水帯という意味ではないです)が斜めにのびていて、東進しているイメージ。未明から明け方を中心に近畿〜東海・甲信では午前を中心に活発な雨雲がかかり雨量が多くなりました。また未明には九州の大分県・熊本県で記録的短時間大雨情報が計4回出されています。

降水量の記録を振り返ります。九州から東北南部の広い範囲で激しい雨、非常に激しい雨を観測しています。北海道も上空に寒冷渦を持つ低気圧の影響で1時間に20ミリ以上の強い雨を観測しています。

岐阜県飛騨北部・高山市宮之前(みやのまえ、1978年統計開始)では1時間降水量65.5mm(1:34)、3時間降水量104.0mm(2:00)、6時間降水量191.5mm(2:10)、12時間降水量248.5mm(8:00)、24時間降水量309.0mm(8:10)、48時間降水量379.5mm(8:10)、72時間降水量424.5mm(24:00)を観測し通年のいずれも極値を更新しています。また、飛騨南部・下呂市萩原(はぎわら)でも3時間降水量135.0mm(1:50)、6時間降水量250.5mm(2:00)、12時間降水量332.0mm(7:50)24時間降水量414.0mm(8:00)、48時間降水量557.5mm(9:20)、72時間降水量639.5mm(23:10)を観測、通年の極値を更新したものを紹介しています。この極値の更新状況をみると、一部2回目の大雨特別警報になった地域はありましたが、妥当な発表だったと個人的には考えます。

通年の極値更新状況(7月8日)
降水量・10傑(7月8日)
降水量・10傑(7月8日)

また、24・48・72時間降水量をみると、2日前(7月6日)に福岡・長崎・佐賀に大雨特別警報が発表されるなど記録的な大雨になった九州の多くの地点で通年の極値が更新されています。72時間降水量は福岡県大牟田で688.5mm(17:30)、大分県日田市椿ヶ鼻で862.0mm(15:50)など。

降水量・通年の極値更新状況(7月8日)

風についてみると、前線南側で特に強い風が吹きました。

最大瞬間風速30m/s超えを2地点で観測しています。大阪府泉南郡田尻町関空島(かんくうじま)で34.0m/s(4:14)、和歌山県和歌山市友ヶ島で21.9m/s(4:07)の2つで、いずれも7月の極値を更新しています。

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加藤 直樹気象予報士・防災士
気象予報士・防災士・国内旅行業務取扱管理者。京都大学農学部森林科学科卒。大学在学中に気象予報士試験に合格。気象解説業務に就く社会人2年目。