2020年7月3日(金)の天気【令和2年7月豪雨・鹿児島付近に線状降水帯が出現】

気象庁では、顕著な災害をもたらした自然現象について、後世に経験や教訓を伝承することなどを目的に名称を定めることにしていますが、2020年7月9日に現在進行形で雨が降り続く中、気象庁から「令和2年7月豪雨」と一連の豪雨に対して名称が定められました。記録的豪雨が降り始めたのが、この7月3日です。

気象庁・顕著な災害を起こした自然現象の名称について http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/meishou/meishou.html

では、まずは地上天気図です。

午前9時時点では、北海道付近、そして日本海中部に中心を持つ高気圧があります。また、梅雨前線が華中から九州南部付近を通り、日本の南に伸びています。前線上の低気圧が渦中を東に進んでいます。そのあと午後9時になると前線は九州〜東日本太平洋側にまで北上。前線上は東シナ海と四国付近に低気圧が解析されています。梅雨前線北上の要因は夏の太平洋高気圧の張り出しです。

500hPa面の天気図を見てみると、5880mの等高度線(太平洋高気圧の勢力目安)が特に西に張り出し、日本付近でも投稿度線が西東日本太平洋側まで北上してきています。梅雨前線の南側での夏の高気圧の張り出しは日本付近への雨のもと、暖湿気(湿舌)流入強化につながります。

FXJP 854(初期時刻7月2日午後9時)

大気下層(850hPa面)の天気図をみると、西から相当温位345K以上の暖湿気が流れ込む予想だったのが分かります。特に午後は風も強まり暖湿気が勢いよく流れ込むように。この日は午後から西東日本中心に雨脚が強まり、気象庁が午後9時ごろに「甑島(こしきじま)では50年に1度の記録的な大雨になっているところがある」という情報を出すなど、鹿児島県では記録的大雨になったところがありました。

気象レーダー(午後11時)

全国の気象レーダーの様子を見ると西東日本の太平洋側中心に赤色(50mm/h以上)の表示が目立ちますが、特に活発な雨雲がかかったのは九州です。下にまとめてあるのは、午後10時40分から24時まで、九州地方のレーダーの様子です。活発な雨雲が熊本・宮崎・鹿児島県の県境付近にかかり続けたのが分かります。

この日は九州や四国で日降水量で100ミリ以上の地点があり、特に夜遅くの雨の強まりが顕著。1時間降水量は鹿児島県八重山で94.5mm(21:39)、東市来で98.5mm(21:35)の猛烈な雨を観測し、通年の極値を更新しています。また近畿地方の兵庫県西宮では1時間降水量41.0mm(23:25)の激しい雨を観測し、7月の極値を更新しています。また鹿児島県八重山では3時間降水量176.5mm1を観測し、7月の極値を更新しています。紀伊水道を南〜南西の風が通り抜け活発な雨雲が流れ込んだと考えられます。あと低気圧の進路に近かったという点も。

日降水量10傑(7月3日)
3時間降水量10傑(7月3日)

この日は前線上の低気圧が四国〜紀伊半島付近を進んだため、四国や近畿で風が強まりました。和歌山県友ヶ島では最大風速21.4m/s(23:01)、最大瞬間風速26.7m/s(22:40)を観測しています。また、岩手県花巻(はなまき)では最大風速10.5m/s(17:05)を観測し7月の極値を更新しています(花巻の統計開始は2003年)。

そして、もう一つ、岡山の日応寺(にちおうじ)では最高気温20.1度で、最高気温の低い順の記録の7月の極値を更新しています。最低気温は17.8度でしたので気温ほぼ横ばいの1日でした。

ここ最近、梅雨末期の大雨という言葉にあまり馴染みがないなと感じていた僕ですが、「梅雨末期は太平洋高気圧が日本付近に張り出して湿舌が日本付近にやってくるから集中豪雨が起こりやすい時期なんだ」とこの一連の大雨で認識を新たにすることになりました。勉強不足でした。

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ABOUT US

加藤 直樹気象予報士・防災士
気象予報士・防災士・国内旅行業務取扱管理者。京都大学農学部森林科学科卒。大学在学中に気象予報士試験に合格。気象解説業務に就く社会人2年目。